こんにちは~。桜畑です。
●起き上がるために救急車?!
8か月前の春、浴室で転び背骨を圧迫骨折した母。心臓が弱ってることもあり、すこしずつ歩行困難がすすんで、昨年末には転んだら自力で起き上がれない状態に陥ってしまいました。
90代の父も助け起こせず、困って結局救急車を呼んでしまったんですが…。
コロナやインフルエンザがまん延している年末に、「転んで起きられなくなってしまった人を起こす」ために呼ばれるとは!? 救急隊にとっても、地域の皆さんにもマジで迷惑…
あとできいたら、契約している24時間の訪問看護師さんに連絡すべきだったそうです。
本当にごめんなさいm(_ _)m
●それでも近居じゃなくてよいと思う理由
こんな事件があると、もっと近くに住んでれば…という気もする。でも、トータルで考えると遠距離介護はむしろ双方にとってラッキーかな?って思います。
介護保険サービスという日本が誇る高齢者支援システムがある今。
何より超えるべきハードルは「他人を家にあげて、家事やケアをしてもらう」という経験をすることです。
最初は押し付けでも強制でもよい。ここさえ乗り越えれば、あとは地域の介護力に任せて、子世代は距離をとったほうがずっとうまくまわる。なぜか?
シニア雑誌の編集や執筆も長かったセミリタイア主婦の桜畑が、自分の経験を通して書いていきますね。
こんな疑問に答えます
- 親のそばに住んで介護や手助けをするのが親孝行じゃないの?
- 遠距離介護ってきつくない?なぜラッキー?
- 要介護になった両親に、子ども世代がすべきことは?
目次
1,近居しなかった理由
①建て替えるか?住み替えるか? 運命の分かれ道
父が退職した頃、古くなった家を建て替えるか、都心の(子どもたちの生活圏に近い)マンションに住み替えるか? を検討する機会がありました。
実家は山の上の住宅地で、門から玄関に上がる階段もきつく、車いすになったら外出困難になるのは明白です。
うちは私と姉、妹の三人姉妹。全員都内で仕事をし、千葉県と都下に住んでいたので、声を揃えて「都心のマンション暮らし」をすすめました。
②「住み慣れた土地」の魅力には勝てない
しかし結局両親は、空気がきれいで富士山の見える山の上から動くことなく、家を建て替えることを選びました。
ご近所や趣味のおつきあい、慣れた生活圏…。動きたくない気持ちもわからなくはないですが…。
帰省のたびに、最寄り駅からの登山のような上り坂と、玄関まで10段の階段に、「車椅子になったらどうすんの~?」「なんで先のことを考えないのかなぁ~」とため息がでました。
2,介護でいちばんにするべきことーー他人が家に入ることに慣れてもらう
①後期高齢者になるとピンチになる
70代後半~80代になると、両親それぞれ心臓に不調が出て入院。幸運にも現代医学の力で無事復活できました。
しかし膝や腰の不調もあいまって、徐々にトイレやお風呂の掃除が行き届かなくなってきました。
室内は、処理しきれない雑物や不用品で、廊下や通路や机の上も空間がなくなり…生活が回らなくなっているのが一目瞭然です。
②弱音を吐いたときがチャンス!
「かがめないからトイレ掃除や掃除機かけができなくなってきた」と父。
「家を片付けないと死んでもしにきれない」と母。
こういう弱音や悩みを口にしたときがチャンス到来ですね!!
③民間の定期おそうじサービスからスタート
「誰かに掃除をお願いしたいけど、介護保険の世話になるのはイヤ」…これが最初のハードルです。
そこでまず「ダスキン家事お手伝いサービス」を提案。月に1度、相談しながら片付けや掃除を手伝ってくれます。
(上記HP⇒「家事代行サービスはこちらから」⇒「家事お手伝いサービス」へ飛べます)
「そうね、頼もうかしら」。口では言うけれど、決して連絡しない両親💢
なので、こちらから最寄りのダスキンの店舗(メリーメイド)に電話をして、強制的に1度体験してもらいました。
「どうだった?」と連絡すると、すでに月に1度2時間の「家事おてつだいサービス」の定期契約をしたとのこと👍
費用は8,800円。今まで自分がやってたことにお金払うの?と思うもんですが、体験してみるとむしろコスパがいいと感じるようになります。
*料金は地域によって変わります。
④住まいの快適さを回復!
やってくるダスキンのスタッフさん。「こんにちは~!よろしくお願いしま~す!」と明るく声をかけてくれて、掃除機かけ、トイレ、風呂掃除などを手際よくやってくれます。
月1とはいえ、居室やトイレ、お風呂がみるみる清潔感を取り戻し、家はびっくりするほど居心地がよくなりました。
娘のようなスタッフさんと話をすることで、両親の気持ちも明るくなるみたいです。
⑤柔軟な対応がありがたい!
サービス範囲が厳格に決まっている介護保険のヘルパーさんと違い、「居室以外の掃除」「整理、片付け」など、柔軟に対応してもらえるのが民間サービスの強みですね。
たまった雑誌や紙類の整理やガラス拭き、2階や階段の掃除など、その都度気になっているところをやってもらえるので、とても助かると言います。
3,介護保険サービスにデビューする
①家事援助に抵抗がなくなったら?
こうして数十年ぶりに「他人が家にあがり、家事をする」ことを体験し、徐々に抵抗がなくなっていった両親。
当時はまだ私もきょうだいも働いていたので、呼び寄せて手伝わせる…という発想にもならなかったのが幸いでした。
②自然に介護保険サービスにつながる
父は、「介護保険のヘルパーさんの方が安く頼めるはず」と言い始めました。その通り。父、アッパレです。
年金生活になってからも「介護保険料」は毎月支払ってきたんです。そのサービスを自分たち利用するのはいつ? 今でしょうっ!
③介護認定を受ける
両親は、介護保険のサービスを受けるなら、地域の「包括支援センター」に連絡することもそれがどこにあるかも知っていました。
でも、例によって「そのうち連絡する」と言いながら、何ヶ月経っても電話一本がかけられない💢。
なので、私の方から最寄りの包括支援センターに電話。
両親の様子や住所、電話、名前を伝えたら、「お知らせありがとうございます」と感謝までされてしまいました。
翌日にはセンターから両親へ連絡が行き、数日後にはケアマネージャー(担当者)が決まり、介護認定調査*の日取りが設定されました。
*介護認定調査(要支援1,2/要介護1~5のどの状態か、面談して決める調査)
④介護サービスの利用がスタート
というわけで、ダスキンのサービスをお願いしてから1年後、両親とも要支援1の認定を受け、介護サービスがスタートとなりました。
当初受けたサービスは、週に1度の居室と水回りの掃除。
引き続き片付けや手の回らないところをお願いするため、ダスキンの月1サービスも継続しました。
⑤徐々に増えるサービス利用
その後母は心臓が弱り、転倒や骨折を経て要介護1へ。
以下のように、順次必要なサービスが追加されていきました。
- 食事作り(週1回)
- ゴミ収集サービス(役所のサービス 週1回)
- 訪問看護(月1回)
- シャワー浴の見守り(週1回)
- 手すりのレンタル
- 介護ベッドのレンタル
- お弁当の宅配(週1,2回 自費)
- 訪問リハビリ(週1回)
- 訪問美容(月1回 自費)
- 訪問診療・薬剤師(月2回)
ケアマネージャーさんが月に1,2回訪問してくれて、困りごとを聞き取り、さまざまな地域のサービスにつなげてくれます。すでに私達より両親の生活、性格を把握し、愚痴まで受け止めてくれてる様子😲
すぐ駆けつけられないところに住んでいる子世代にとって、本当に心強いっ!!
4,「他人のケア」に慣れれば、あとは勝手に回っていく
①他人が家に入ることに抵抗する理由
両親の世代は、「子だくさんで乳母やお手伝いさんが家にいる」時代を知っています。家の中に常に他人がいる気詰まり感も。
そして、その後の「専業主婦+企業戦士の核家族」時代が長い。主婦に家事が集中するとはいえ、ファミリーだけの気安さを実感してます。
なので、他人が家に入ることに、とても抵抗します。
なぜなら…
- プライバシーを侵される
- 汚い家を見せるのが恥ずかしい
- 人が家にいる間、くつろげない
- その間外出できず、予定が縛られる
- お金を払って人にやらせるなんてぜいたく
などなど。
②他人のケアが入るメリット
いろんな意味でおっくうではありますが、そのハードルを超えると、人が入ってくれる良い点が見えてきます。
- 娘のような年齢のスタッフさんとおしゃべりができて楽しい
- 高齢夫婦でがんばって暮らしていることを、評価してもらえる
- 家がきれいになってさっぱりする
- 定期的な訪問で、ひと月の生活にリズムができる
- 今度はどこをきれいにするか?どんな料理をつくってもらうか?と前向きになれる
③体験すれば良さがわかる
とにかく最初はがんばって、子どもがきっかけをつくって他人のサービスを体験してもらうことさえできれば…!
弱っていた両親は、「ちょっとめんどうだけど、いいもんだな…」となってきます。
できることが少なくなり、人手を頼らざるを得なくなる高齢期。
「家に他人が入ること、家事やケアをしてもらうことに抵抗をなくす」
ここが肝心要のポイントです。全力でこのハードルを超えていきましょう!
4,遠距離介護がラッキーな理由
①認定調査で驚いたこと
要介護度の認定調査に同席して驚くのは、介護保険のサービスが「家族介護」を前提としていないこと。
ケアマネさんは、娘が3人いても、遠方から駆けつけたり、同居、近居を促すことは一切しない。
そもそも「この娘たちは仕事をしているのか?家族はいるのか?暇で時間があるのか?」などさえ確かめない。
介護保険の使えるサービスと、その他の地域の介護資源で、いかに高齢世帯を支えていくか? を徹底的に考えてくれるんです。感動ですね!
②地域の資源を駆使して
両親が現在受けている介護サポートは、介護保険内で頼むものと、役所や民間のサービスとが混在しています。
ケアマネさんをはじめ、訪ねてくれる看護師さんは、地域にネットワークをもった介護のプロ。
以下のような地域の介護資源を、官民問わず熟知しています。
- 病院や医院
- 在宅介護クリニック
- 在宅看護ステーション
- デイケアセンター
- 老人ホーム
- 役所のサービス
- 福祉用具業者
- 介護タクシー業者
- 高齢者用の弁当宅配業者
等々、なんなら多くの業者さんとは知り合いだったりして、「ああ、〇〇さんの紹介ね」…と話が早かったりします。他県に住む私たちは「ポカ~ン」ですね。ほんとうにありがたい!
③子どもが自分でやらなければ…という呪縛
日本人にしみついた「親孝行」というワード。
親の介護は自らがやらなくては…と思っている人は多い。
そういえば会社でも、シングルの先輩たちは仕事を終えた金曜の夜から新幹線で他県へ行き、親の世話をして日曜の夜に帰る…という生活をしてたなぁ。
本人たちは「独り者だからできるんだよ」と言いますが、自分自身をケアする時間が削られてしまうので、よほどの体力気力があり、本人も素直で親との関係がよくないとできるもんではないですよね。
家族がいると、家をあけた分だけ自宅の家事や、レクリエーションにしわ寄せがいく。
他県まで往復し、親の家でびっちり働き、ぐちや悩みにも耳を傾ければ、心身ともぐったり。生活ペースも崩れます。
④親不孝介護のすすめ
昨年の秋に出たこの本。ジャーナリストである著者が、自身の遠距離介護の体験を綴っています。
『親不孝介護 距離を取るからうまくいく』山中 浩之 (著), 川内 潤 (著)
「エリート会社員ほど、親が倒れると自分が介護を抱え込みがちだが、それは✕。親が地域で介護のプロの助けを借りながら生活するためのシステムをつくるのが、子供の役割である」
ということを、プロの意見を交え、読む側が納得しやすいように伝えてくれる本です。
がんばって手助けしすぎて、私もきょうだいもくたびれてしまったとき、この本を読んでなるほど~と思いました。
親子の関係はとても複雑。実の親の最盛期を知っているだけに、理解力や体力が落ち、思い通りにならない親と向き合うのは辛い。
最悪、親が嫌いになったり、こっちが病みそうになったりします。
身体介助や家事援助はなるべく地域のプロに任せて、私たちは他人ができないことや、会って話す部分を主に引き受ければいいんですよね。
育ててもらった恩もある。心から感謝している。そんな親が年を取って衰えたら、手取り足取り、そばにいて面倒を見てあげたい。そう考えている人が世の中の大多数でしょう。私もそうでした。そう思っている人にとって「親不孝介護」という言葉は、きっとネガティブに響いたと思います。介護イコール、究極の親孝行であるべきでは? そんなふうに感じられたかもしれません。
親の介護が「辛く苦しい」ものだと感じられ、現実に多くの方が悩んでいるのはまさに、 「介護=親のそばにいる=親孝行」 という、強固なイメージがあるからなのです。 これを打ち破るだけで、介護はグッと楽になるのですが、親と適切な距離を取ること、近づきすぎないようにすることは、「そばにいる=親孝行」のイメージがあるためとても難しい。そこで、「距離感」を忘れずにいるために、「親不孝介護」という言葉を作りました。"
"親不孝介護 距離を取るからうまくいく"(山中 浩之, 川内 潤 著)
とはいえ、「母が転んだらもう父がいても助け起こせない」ことがはっきりした今。この先ホーム入所というハードルを超えなくてはいけないでしょう。
「この家をホームにし、ヘルパーさんや見守りサービスの助けを借りて生活すればいい!」とがんばる父(笑)をどう説得するか?
おいおい進捗状況を書いていきたいと思います。
それではまた~!