こんにちは。30余年勤めた会社を辞め、新しい生活スタイルをつくりはじめて1年の桜畑です。
セミリタイアというと、お金がいくらあったら足りるの?(*)ということばかりクローズアップされます。確かに(あまり)働かなくても生活が破綻しないような計画は必要です。その主な手段が貯金や資産運用であることも事実。
でも、50代でセミリタイア考える人って、すでに、貯蓄がある程度積み上がっていて、家や子育てへの出費にめどもつき、退職金の額もざっくり予想できてると思われます。そしてあと数年貯蓄を取り崩したところで、年金という安定収入も待っている。
若い人のセミリタイアに比べ、圧倒的に低リスク。なのに迷うっていうことは、自分の生きる軸がはっきりしてなくて、死ぬまでにどれほどお金がかかる?とか、暇になって病む?とか漠然と不安になったりするからじゃないかな?と思います。
*参考記事
50代セミリタイア ひきこもり1年。お金ってどうしてるの?
●私の経験
『7つの習慣』を会社の本棚で見つけたのは20年前。フルタイムの仕事と子育てのバタバタの中で、次々降りかかることを処理するだけでなくて、本当に優先すべきことは何か?常に考えるようになりました。そして、早期退職後の自由な生活の中で、ますますこの7つの習慣の重要性を感じています。
1年かけて徐々にできてきた暮らしの軸について、『7つの習慣』」の提案にそって書いていきますね。仕事だけでなく、私生活にも、とっても有用な考え方だってわかると思いますよ。
【7つの習慣】
第1の習慣:主体的である
第2の習慣:終わりを思い描くことから始める
第3の習慣:最優先事項を優先する
第4の習慣:Win-Winを考える
第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
第6の習慣:シナジーを創り出す
第7の習慣:刃を砥ぐ
目次
習慣1,自分のことは自分でする
(主体的である)
コヴィー氏の「7つの習慣」の習慣1は、「主体的である」。自分の環境や属している組織、環境のせいにせず、自分のできる範囲(影響の環の中)で力を発揮する習慣です。
リタイアすると会社のしくみや上下関係とは無縁になります。時間やお金の配分、どこで何をするか、すべてが自由。その分、主体的にならざるを得ず、結果もすべて自分が引き受ける、まったく新しい人生の始まりです。
必要なお金は自分で決める
給与収入のある生活は、毎月その中で暮らせてれば大丈夫…と受け身になりがち。セミリタイア生活は、自営業みたいなもので、資産をどれだけ引き出し、何に使うか? 主体的な決断を迫られます。家計簿をつけるなど、収支の把握は必須。年間で資産がいくら増減し、それはなぜだったかもちゃんと分析が必要です。
税金・社会保険も自分で払う
どうせ勝手に引かれるから…と思考停止してた年金、健康保険、税金。自分で手続きすることで、「引かれる」ではなく「支払う」に感覚が転換します。
例えば年金は、国が用意したお得な終身保険。高い高いと文句をいうだけでなく、支払いに見合ったサービスなのか?を自分で考える。これも主体性の発揮です。
時間配分を自分で決める
会社の拘束時間がなくなって、起床就寝、食事時間等、すべて自由。これほど主体的な生き方を要求される状況って、なかなかありません。
家にいると、気づくと家事やネットサーフィンで時間が過ぎてしまいます。「ほぼ日手帳」で予定と記録を管理し、ジムや図書館、カフェに通うことでリズムをつくるようになりました。今は満足して1日を終えられます。
習慣2,人生の満足とは?を考えて即実行する
(終わりを思い描くことから始める)
習慣2は「終わりを思い描くことから始める」。平たく言うと、死ぬ前に後悔しないためにどう生きるか?ということですね。私はこのことをずーっと考えていたので、充実してた仕事を、50代で手放す決心ができたのかな?と思います。
やりたかったこと思い出す
コヴィー氏はこの章で、ミッションステートメント(他人から与えられた脚本でなく、自分が本当にしたいこと、生き方の軸を文章にしておく)を書くことをすすめています。私も折にふれて書いていました。家族や両親のこと、趣味の音楽のことや好きなもののこと。仕事の上ではシンプルな幸せについて発信していきたいということなど。
これらを調和させるのに、どのくらい時間と体力が必要か?それを考えると、仕事を辞めたのは正解でした。そして今、できた時間でモーニング・ページ(*)を書くなどしながら、今日、今週、今月、何をするべきかを確かめながら生活するのが習慣になりました。
*モーニング・ページについて詳しくはこちら
【朝活】モーニングページって何?本当のやり方と効果。知恵の泉にアクセスすると人生が変わる話。
迷わず即決、即実行
50代といえば昭和初期の平均寿命。余命が伸びたとは言え、80代、90代の両親をみていると、衰えは急速にやってきます。やりたいことはすぐやらないとです。もともとグズな私ですが、どうしたらすぐ実行できる人になれるかだけは、高速で学んでいます(笑)。印象的だったのは次の2点。
●迷ったり、逡巡しても結果は大して変わらない
●うまくいかない=失敗ではなく、検証結果にすぎない
*参考になった本についてはこちら↓
「すぐやる脳のつくり方」を脳科学者の茂木健一郎先生に教えてもらったら、すぐできる人になってきた話。
ゼロ秒思考[行動編]―――即断即決、即実行のトレーニング(本のリンクです。そのうち記事にします)
一般論は聞き流す
「専業主婦は退屈」「収入がないと惨め」「仕事は定年まで全うするべき」などの社会通念。誰に言われたわけでもなく、いつの間にか忍び込んでる世間の圧力。こういうものに長く囚われていましたが、エイッと飛び降りてみると、ぜんぶウソだったなぁー(笑)と思います。というか、自分次第。
「主婦業はクリエイティブ」だし、「収入がないと気楽」だし、「定年までいなくても誰も困らない」です。一般論って、ひと時代前の常識だったり、会社や組織にとっての好都合だったりしませんか? 死ぬまでにしたいことをクリアするには、虚心でものごとを見る目、大事ですね。
習慣3,生活の「核」を定め、優先・集中する
(最優先事項を優先する)
初めて『7つの習慣』を手にした20年前。フルタイムの仕事と子育て手一杯な上に、あるプロジェクトの責任者になりました。目の前の仕事への対応に追われまくる中、衝撃を受けたのがこの図。右上、第2領域の「緊急ではないが重要なこと」を優先する」=仕事も人生も楽にする究極の真理です。
何を優先すると、仕事もプライベートもちゃんと回るのか? 以来、常にそのポイントを考える→実行を続けています。
体育と音楽は必須科目
40代半ばで体調を崩し、数か月の休職を経験。そのとき始めたのがジムでのゆるい筋トレとヨガ、そして楽器のレッスンです。体と心の調子を保つのに、体育と音楽は必須なのだと実感しました。小学校の時間割、正しかった!
気ぜわしいときほど、この2つの時間を先にスケジュールに入れる。この習慣が今も続いています。
家族には時間を使う
フルタイム勤務が長いと、ゆっくり取り組みたいこととか、行きたいところなんかがたまっていると思います。
でも、夕方と週末はなるべくあけます。ホームに義母を訪ねたり、離れて住む子どもたちやそのパートナーと時間を共有することを優先しています。
死ぬ前に多くの人が後悔するのが「仕事より家族を優先すればよかった」です。家族からのことばでのヘルプはもちろん、無言のSOSにも、さりげなく対応していく時間の余裕を持ちたいですね。
やりたいことを絞る
映画、旅行、コンサート、美術館、家の整理や片づけ、楽器練習、ガーデニング、本を読む、ブログを書く、新しいレシピに挑戦、ジャムを煮る…その他やりたいことはいくらでもあります。退職してしばらくはそれらが一度に押し寄せてくる割に、なにひとつ進んだ気がしなくてげんなりしました。
そこへ、ちょいちょいやってくる新型コロナのステイホーム期間。おかげで月ごと、週ごとに的を絞れるようになりました。
つまり、〇〇重点月間・重点週間です。その期間に優先することは1つか2つに絞る。これはいい計画法です。少ない事柄に集中できるようになり、心が落ち着きました。
習慣4,自分も周囲も幸せになるように計画する(Win-Winを考える)
衝動的に退職を決めて、9年分の年収をドブに捨てた桜畑。家族は唖然としていました。基本生活費は全部夫の負担になるし、世帯の貯金は増えないし、子どもたちは服とか靴、外での食事をたかれない(笑)。ええっ?
家族の幸福度はむしろ上がる
ところが、私が働かないことの家族へのメリットはめちゃくちゃ大きかった。
夫は夕食づくりから開放され、たまにお茶を入れてもらえる(笑)。娘の引っ越しの手伝いに駆けつけられる。両方の両親に会う時間が増え、実家を片づけられる。片づけた結果、息子がそこに住んで結婚までする(*)などなど。
*参考
実家が空き家に! 管理と片づけ方。そして究極の活用方法が生まれた話。
結局お金があるか、時間があるかの違いで、もっているリソースで、どうしたら自分もみんなも幸せになるのか?を考えるのが大事ってことですね。
やりたいこと☓周囲の幸せ をかけ合わせる
小さいことで言えば、「趣味で家をあける休日にはケーキを買う」とか、「旅行には娘を誘うとか」とか、「つくりおきのおかずは多めにつくって息子夫婦にもたせる」とか。
自分だけ時間ができて、楽しんだりラクができる。そのときついでに、忙しく働く家族を喜ばせられないか?というWin-Winな思考法。
この習慣のおかげで、私の電撃退職や、悠々自適生活を否定する人はいなくなりました。
家族からはじめて社会に。どうやって楽しみながら貢献できるか?が今後の課題ですね。
習慣5,人の話をよくきく。言いたいことはネットに書く(まず理解に徹し、そして理解される)
5つ目の習慣は、まず相手を理解することに徹する。これは本当に難易度が高いですよね。誰しも自分の言いたいことが言いたい。もう聞いたなぁって話とか、無駄じゃね?と思われる議論はすっ飛ばしたい。だって自分の時間が大事だから。
聴くことは「癒やし」と気づいた本
退職して要らない本をブックオフに持っていったときに出会ったのが『やっぱり、それでいい。: 人の話を聞くストレスが自分の癒しに変わる方法』。漫画家の細川貂々(ほそかわてんてん)さんが、精神科医の水島広子さんに「聞き方」を伝授してもらうコミック。これ、隠れた名著です!
これを読んで、人の話を聴く時、自分の時間を奪われる意識ではなく、雑念を払い、無為の境地になる訓練をすることで、それが自分にとっての癒やしの時間になる…と知りました。人の話を聴いてあげながら、流行りのマインドフルネスとか瞑想の訓練ができる感じ👍
今は会社員時代よりずっと、気分のゆとりと時間があります。両親や家族、近所の人のとりとめのない話を虚心に聴く。むしろもっと話させる。そういう努力ができるようになりました。なぜなら自分の心が整うチャンスだから。
言いたいことはネットに
そして日頃考えてること、学んだことは、ツイッターとかブログに発信。なんでも好きに書けるわけではないですが、家族を模したアイコンに質問させて、こうやって言いたいことを書いておけば、結構吐き出した感があって満足できます。
その上、家族どころか見ず知らずの悩んでいる人も、読んでくれるかもしれない。みんな、延々と過去の成功体験や、しょうもないアドバイスを「聞かされる」んじゃなくて、好きなときに自分に有用なとこだけ読める。これ、すごいライフハックですね。
世のすべての中高年に言いたいです。
若者の話の聞き役になろう!
繰り言はネットに書け!
習慣6,じわじわ周囲を変える(シナジーを創り出す)
シナジーの語源は、ギリシャ語の、sy(共に)+energy(エネルギー)。ふたり以上の力が合わさって、それ以上のエネルギーがでるってことですね。それぞれの意見や強みが違うからこそ生まれる、新しいアイディアや作り出されるコトやモノ。長い職業生活の上で、シナジーを経験したことは幾度もあります。
ひきこもりリタイア生活のシナジーとは?
既婚者やパートナーがいる人にとって、シナジーを実感するのはまずその2人の関係性でしょう。(同居の親や子、ペットとのシナジーも大いにありますが)。
私の電撃退職で、フルタイム☓2の時間貧乏夫婦は、専業主婦+フルタイム夫に進化(?)しました。
妻が楽しく片づけていると、夫も本や雑貨、頑なに捨てなかった服の大整理を。楽しそうに花を育てていたら、夫が毎朝水やりを。寝具カバーを替えてたら、自分も…と休日の朝から洗濯。
お互いが時間貧乏だったときにはめんどうな仕事だった家事・雑事。片方が余裕を持って楽しそうにやっていると、しぜんと相手もやる気になるんですねぇ。これも小さなシナジー。
「お金より時間」でつくれるシナジー
夫婦の揉め事って、家族全体の「仕事にかけるエネルギー+家事子育てにかかるエネルギー量」が多すぎて、時間が足りないときに起きがち。時間持ちのセミリタイア生活は、このことを根本的に解決してくれて、世帯収入が下がったのに、ゆとりある平和な毎日をつくってくれました。
お金より時間を選ぶことの重要性。これを折々に考えて伝えていったり、リタイアひきこもりのみなさんとつながることで、世の中にもシナジーを作り出していけたら…今はそんなふうに考えています。
習慣7,健康保持、読書、自分磨きを続ける
(刃を研ぐー主体的な自己研鑽)
『7つの習慣』の7番目は、「刃を研ぐ」。すべての活動の基礎、土台になる部分です。
美味しい料理を手早くつくるには、よく切れる包丁が必須。成果に先立つ「研ぎ」の作業の重要性は、料理や庭木の剪定や薪割りをしたことある人ならみんな知ってますよね。
その要素は、以下。
「刃を研ぐ」は土台。要素はこの4つ
①肉体 (健康維持。良質な食事、運動、睡眠、ストレスの軽減など)
②精神 (貢献、価値観の明確化、文学、瞑想、自然とのふれあいなど)
③知性 (読書、学習、執筆など)
④社会・情緒(良好な人間関係。信頼を蓄積する)
①はウォーキングや朝15分のヨガ、時々ジムに行き、毎日夕食をつくり、スマホで就寝、起床時間を管理。ストレスほとんどなし。
②は発信活動、映画をみる、小説を読む、ベランダや実家の庭でガーデニング。旅で自然とふれあう。たまに不安定なときは、メディトピアというアプリのプログラムで瞑想(ほぼ、うたた寝タイム)を試しています。
③好きな本が読みたくて辞めたので、少なくとも1日1時間以上は読書。付箋をつけておいて、あとでノートに要点を書き、発信の元にしています。家事やウォーキングのときは、すかさずYou Tubeやネットラジオで耳学習も。
④良好な人間関係…コロナ禍ということもあり、意図的にひきこもっています。旧友や会社の人との交流はほぼゼロ。むしろ趣味の音楽で、リアルな仲間&SNS仲間とからみあう日々。時間ができた分、家族・親族との関係も良好。
ダラダラしちゃう人は、会社で修行?
こうした習慣は一朝一夕にできたわけではなくて、子どもの頃から朝起きたら学校や会社に行き、強制的にインプット&アウトプットをさせられてきたから身についたこと。
体力もなくのんびり屋の私を、叱咤激励してくれたおかげで、今、リタイア生活を充実して過ごせています。出会った人、社会の皆さんに感謝です。
まとめ 『7つの習慣』を読んで、ミッション・ステートメントを書こう
久しぶりに『7つの習慣』」をひもといて、どんな場所や環境で生きていくにも大切なことが詰まった偉大な本だなって、あらためて思いました。
ビジネスマンの啓蒙書と思われがちな『7つの習慣』ですが、リタイア生活の土台としてもとっても有用。しかも仕事をしているときより、ずっと実行しやすいです。選択の自由度が高まって、自分の貧弱な生命エネルギー(笑)を、バランスよく配分できるからでしょうね。
「死ぬまで暮らせるお金たまったけど、辞める決心つかないなー」とか「リタイアしたらどう生きるべき?」とか悩んでいる人は、あらためてこの本を読んで、できれば「ミッション・ステートメント」も書いてみてくださいね。
きっと思いがけない人生が拓けていくと思いますよ!!
それではまた~
第1の習慣:主体的である
『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』
第2の習慣:終わりを思い描くことから始める
第3の習慣:最優先事項を優先する
第4の習慣:Win-Winを考える
第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
第6の習慣:シナジーを創り出す
第7の習慣:刃を砥ぐ
スティーブン・R.コヴィー (著), フランクリン・コヴィー・ジャパン(翻訳)