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コロナ禍と戦争で歴史に目覚める
こんにちは〜。桜畑です。2020年、コロナ禍自粛生活のスタートとともに、36年の会社生活に突如終止符を打ってもうすぐ3年。
セミリタイア生活は、新型コロナのパンデミックではじまりました。毎日ニュースで各国のコロナ対策を見ていると…
- 強力なロックダウンで抑え込みの中国
- マスクもせずしぜんに任せるスウェーデン
- お金を配りまくるアメリカ…
とお国柄や政治文化の違いか、なんでこーなるの?と興味深い。
ようやく混乱が一段落?と思ったら、昨年2月にはロシアのウクライナ侵攻というリアルな戦争が勃発します。
のんびりセミリタイア主婦してた桜畑も、地球儀を眺めたり、地政学や歴史に関する本を読んだりYou Tubeで勉強することが多くなりました。
学校の歴史教育はつまらなかった
思えば小学校6年から「はにわ・卑弥呼・聖徳太子」にはじまる歴史教育がスタート。
しかし、結局「近・現代史」をがっつり学ぶことなく学生生活は終わってしまいました。
高校の同級生には池田理代子さんの名作「ベルサイユのばら」の影響で、半端ない世界史の知識を蓄えた「歴女」もいた。
でも桜畑は、戦争や政治の変遷を年号とともに覚えるなんてことにあんまり興味がもてなくて、眠い時間の方が多かったなぁ…。
もし当時の日本や自分の生活に直結する、明治維新から第二次世界大戦前後の世界の動きをわかりやすく教えてくれたら、もっとちゃんと勉強したのになぁ。
しかも戦争教育といえば「かわいそうなぞう」「ちいちゃんのかげおくり」的な、被害者目線で、日本が他国に何をした?かはぼんやり~とぼかされたことにも長年疑念がありました。
セミリタイアすると歴史がおもしろい理由
とはいえ、社会人になると、報道や実体験で、内外の歴史の断片的知識は増えていく。あれとこれがつながって、脳内に「自分の歴史教科書」もできていきます。
歴史がおもしろくなる理由は、
1⃣知見が増えて、視野が広がるから
長く生きるほど、いろんな事件が起きたり、オリンピックやワールドカップなどのイベントで、耳にする地名も増えてくる。
頭の中の日本地図や世界地図が、詳細になり、立体化することで、歴史への興味と理解が深まっていきま。
2⃣旅行や人からリアルな情報が入ってくるから
20代の頃、仕事や旅行で東南アジアデビュー。インド、ネパール、フィリピン、タイなどにでかけ、その歴史や文化にじかに触れました。
当時はエスニック料理や海外協力(支援)ブームで、留学生との交流やボランティアで、いろんな国の人と話す機会も多かった。リアルな実情をきくと、その国や地域の歴史にも一歩深く興味を持つように。
ある留学生からは「内戦で家族が狙われ、銃を持ち敵兵を狙った…」という壮絶な体験談もきいたり…。
「戦争」はきれい事ではなく、家族や生活を守るために武器をもたざるを得ないことがあるのを実感します。
3⃣本を読む心と時間の余裕ができるから
とはいえ、中公文庫『世界の歴史』を買ってみたり、ママになって子どもたちの『まんが世界の歴史』をチラ読みしたけど…で今いちハマれない。
ワーママは仕事と子育てと家事で「人生がフルタイム」なので、必然性のない本が読めないんですよねぇ。
ところがリタイア後、税金や社会保険の手続きを自分でするようになり、「税金ってなんでとるの?」「お金とは?」「国家とは?」なんてことを真剣に考えるようになります。
時間があるので、お高い本も「図書館で予約して待って読む」ことができるし👍
4⃣興味のあるテーマだと頭に入るから
その頃出たこの本、マジでおもしろかった。歴史の教科書には断片的にしか出て来ない金融の進化が生き生きと描かれていて、各国の文化史とともに「そうなのか!」って結びつく爽快感があるんですよ。
その他にも、相次いで出た地政学の本や👇
ドラマ「ダウントン・アビー」の背景がすごくよくわかるこちら👇とか
歴史の「現象」じゃなくて「動機」がわかるこちら👇
とか。ふと疑問に思ったことから良書に出会うと、世界の歴史が立体的になっていきます。
5⃣いろんな視点から歴史を見られるから
というわけで、手当たり次第に歴史っぽい本を読むことで👇
- 優れた人種である西欧人から見た戦争や政治体制の歴史=世界史の教科書
- 優れた人種である日本人から見た島国日本の研究成果の集大成=日本史の教科書
ではなく、違った角度から歴史を眺められる。
さらに、
「自分が興味あるテーマを軸に、作家さんや学者さんが、生き生きと描いたヒストリー」
を読んだ方が、歴史は頭に入るしおもしろいっていうことを知りました。
ちょっと気づくのが遅かった??
高校の歴史教科書が激変してた!
1⃣「歴史総合」作成にかかわった人の講演会
コロナ禍も明けた今年2023年。図書館で、国立の東京外国語大学と読売新聞が行う連続市民講座「世界を学ぶ、世界を生きる」のチラシを発見。
外語大は自転車で行けて、大きな公園に面したごきげんな立地。そして参加費はムリョーー(無料)。すばらしいですね👍
そして第一回目のテーマは「高校の新科目「歴史総合」の考え方」。
新指導要領作成にかかわった先生方の講演でした。
2⃣「歴史総合」という新しい教科書!
講演をきいてわかったのは、
- 必修だった「世界史A」と必修じゃなかった「日本史A」が統合されて「歴史総合」になった!
- 古代~中世は飛ばして近代史から現代までをサクッと学べる「歴史総合」が全員必修になった!
- 日本と世界の相互関係性が、すご~くわかりやすくなった!
っていうことなんですよ!
桜畑が網羅的な世界史の授業に不満を持ってから約40年(笑)。
この間、下記のような問題点に議論が高まっていたそうです。
- 戦後50年で2000個も増加した歴史用語
- 偏った歴史観や固定化されたストーリー
- 課題解決型か、系統的学習か? の2つの派閥が平行線 など。
で、2022年から、ようやく新学習指導要領が実施になったと。感動です!
*とはいえ大学受験には相変わらず「世界史B」的な「世界史探究」と「日本史B」的な「日本史探究」が残りそうな気配だそうです。相変わらず受験生はマニアックな年号や事項を暗記して、網羅的な記憶力を試されるんでしょうか??
3⃣「歴史総合」の特徴は?
新指導要領でできた新しい教科書のウリはこちら👇
- 明治以降初めて世界史と日本史が統合された
- 網羅主義を脱却して、近現代史を中心に学ぶ
人類の文化歴史の大転換点である産業革命。新教科は、これが起きた流れからジックリ教えてくれるらしい。
ここからの世界の変化がとてつもなく激しいし、現在の生活に直結するからありがたい✌️
これから世界がどう動いていくか?=どう生きるか? を考えるためにも重要ですからね👍。
高校の教科書、一般人はどうやって入手するの?
長年疑問だった日本の歴史教育がとうとう変わった!…という感動とともに、この画期的な教科書はどんな仕上がり具合なのか? この目で確かめたい!という欲望がむくむくと湧いてきました。
1⃣山川出版の歴史教科書が欲しい!
歴史教科書と言えば2009年発刊の「もういちど読む山川日本史・世界史」の大ヒットが印象的。
歴史と言ったら山川。山川と言ったら歴史。
なので、山川出版の「高校歴史教科書」を探してみましょう。
2⃣出版社のHP→手数料高い
まず版元(出版社)のホームページに行くと、ありました。B5版サイズでオレンジ色の表紙、254ページのボリューム。おそらくオールカラーなのに定価746円は安い!と思ったら、手数料プラス送料で1,516円って倍じゃないですか!
ネットで買えるのはありがたいけどなんだかなぁ…。
*山川には他にも2種類の「歴史総合」の教科書があります。
3⃣アマゾンやメルカリは?
で、アマゾンを見たら、こちらもマーケットプレイスに業者さんが出品しているけど1,300円超。ううう~~ん。
かと思うと、こんなボッタクリもあるので要注意ですよ、皆さん!!
頼みのメルカリには、500~1500円くらいで出品されてるけど、すぐに売り切れます。ムムム…
4⃣書店では買えないの?
ならばと、山川出版HPにあった「出版物常備店」である隣街の大型書店へ寄ってみた。
でも解説書や参考書はあるけど、本体はおいてない。なぜなら👇
教科書の完全供給を目指して苦闘する教科書業界は、「転校、紛失、破損、災害等」に備え、在庫確保が必須。
一般書店にバンバン積むのはいろいろリスキーなんですね。
少子化のなか、出版社も販売会社もなかなか苦労されてるみたいです👇
5⃣正解=地元の「教科書販売店」を探せ!
そうこうするうちに思い出したのが、わが家から徒歩5分の本屋「S堂」。
ここって、うちの子が通った小学校に教材を卸してたよね…?
さっそくGO!
確かにここは、地域の「教科書販売店」でした。
「山川の歴史総合の教科書、個人で取り寄せできますか?」と聞いてみたら、
「うちの地域の教科書ではないので在庫はないけれど、1週間くらいで取り寄せできますよ」
とのこと!
この場合定価の746円ポッキリで買えるんですね!すごいですね。1週間くらい待つのは屁でもありません。
*最寄りの「教科書販売店」を探したい方は、下のHPの中程にある「教科書の購入・販売についてのお問い合せ先」から、地域ごとに掲載されている書店を見てくださいね。
全国教科書供給協会
http://www.text-kyoukyuu.or.jp/gaiyou.html
ちなみに一般人が買えるのは、新学期の配布が終わってからで、高校教科書は4月1日以降だそうです。
6⃣ようやく「歴史総合」の教科書GET!
一週間後、無事に山川出版の高校の教科書『歴史総合 近代から現代へ』を入手することができました👍
結局「お近くの教科書取り扱い書店で注文」が最もリーズナブルだと学びました。
一般書店に並べると返品ロスが出て、746円では売れないかも。
とはいえ大人の「学び直し」のために、教科書がもっと買いやすくなるといいですね。
「歴史総合」の教科書の特徴は?
1⃣カラー図解が豊富でリーズナブル
というわけで、徒歩5分の書店で入手(笑)したのがこちら
じゃ~ん!!
B5版で図版や資料が見やすく、文章もすっきりしてわかりやすい。
書店に歴史解説書はいろいろありますが、746円で最新スタンダードの歴史が多角的に学べるなんて、本当におトク!
2⃣産業革命頃からの怒涛の動きがよくわかる
古代文明~中世に熱が入り、残りが駆け足になりがちな従来の歴史授業。
でも「歴史総合」の教科書は、16世紀、アジアに広大なイスラムの帝国が繁栄し、ヨーロッパに国王を君主とする主権国家が立ち並び、日本が江戸幕府が幕藩体制を確立した時代から入ります。
インド航路開発→英国に大量の綿織物が流入→英国で手織物が機械化→産業革命が起こる…という流れなんかも、コンパクトに書かれていてよくわかります。
今のグローバル化はここが起点で、交通、通信の飛躍的な発達により、怒涛の勢いで世界の距離感が縮まっていったことも実感できます。
そしてペリーさんが日本にやって来るわけですね。
欧米からの開国の要請に、中国、朝鮮、日本はどう対応したか?それはなぜか?比較しながら読めておもしろいです。
3⃣年表主義でなく、地政学的
まず巻頭の地図。日本中心に大陸が左右に分かれたよくある地図にプラスアルファで、左側に南北アメリカ大陸の地図をもう一個足してある。
これによって北大西洋を囲んで向き合うアメリカ、ヨーロッパ、アフリカの関係が、スパッと頭に入ります。
こうしたわかりやすい地図が各所に掲載されていて、地形や気候も考えながら、国家形成の過程を学びやすくなっています。
年表は巻末の方に小さく載っているだけ。
文章の方も、「〇〇年に〇〇が」と、「点」でとらえる記述より「○世紀はじめの〇〇は」と時代の流れを面でとらえる説明が多く、年代を大づかみにしやすいです。
4⃣ヨーロッパ視点に偏ってない
巻頭の「諸地域の形成」(16世紀までの歴史の概観)は、「東アジア」からスタート。中国の黄河文明からインドのインダス文明をざっくり学んでからヨーロッパの地中海文明へ。
従来の世界史の「黄河文明」が後ろになる並びより、時系列も正しく、日本人にとって近い文明から入るので感覚的に理解しやすいです。
本全体も欧米中心にならないよう配慮されていて、グローバル化時代にふさわしい構成ですね。
5⃣自分で考えさせる工夫
各章の見出しの横や、各ページのコラムに「〇〇はなぜ〇〇になったのだろうか」的な課題が立てられています。
たとえば第2章の第二次世界大戦の項。
「太平洋戦争関係図」や「日米の主要物資の生産高の比較」の下。
「日米の国力差は、日本側も認識していた。それにもかかわらず海戦したのはなぜだろうか」
こうした、今も簡単には答えが出ない問題を考えさせる質問がたくさんはさまれています。
そのねらいは、巻頭の言葉にあるように
「歴史は単に、多くの事実を記憶することではなく、現在の問題はなぜ生まれてきたのか、その道筋をたどることができる地図を頭の中につくること」
ということなんですね! 今を生きる学生や私達が、どう生きるか? そこに直結するのがこうした課題を自分の頭で考えること。
すばらしいですね!
まとめ 勉強っていうか、娯楽。したいからする
というわけで、日々高校の新しい歴史教科書を読んで感動している桜畑。
今まで見聞きした歴史的事件や、読んだ本で知ったできごとが、教科書に沿ってもう一度位置づけられていくのはなかなかの快感。
これ一冊とマーカーペンを持って、ウォーキングをし、たどり着いたカフェや図書館で読みすすめています。
「ここ、テストに出るよ」とかじゃなくて、
「そうか!そういうことだったのね!!」
「これは大事オブ大事よね、ウンウン」
とか思ったところに線を引きながら、世界に思いを馳せていると、時空を超えたタイムトラベルみたいで、とっても楽しい。
そして思い出すのが学園ドラマの超名作『女王の教室』で天海祐希さん演じる阿久津真矢が言い放つこの言葉…。
「いい加減目覚めなさい。まだそんなこともわからないの? 勉強は…しなきゃいけないものではありません。”したい”と思うものです。 」
リタイア後って、暇で退屈しない? 何をしたらいいの? とか悩んでるそこのあなた!
ぜひ高校の「歴史総合」の教科書を入手して、読んでみてくださいね。
746円の100倍くらいの価値がありますから。
それではまた~!!