こんにちは!桜畑です。
少し前に、こんなニュースが出てましたね。
コロナ禍が下火になった2021年の10月からの3か月、個人消費が活発で、経済が回復してましたよっていうありがたいお知らせです。
※後に下方修正
とりあえず、そうかそうか経済が回ってよかったね。なんか先行き明るいのかな…。とか思っちゃったりします。
こういうふうに何気なく耳にするGDPという数字。国際基準で算出されるこの統計で、経済成長を測っては、政府も国民も一喜一憂する。
しかしこの本『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』によると、桜畑は「GDP的に最悪の家庭をつくってる」ってことになるそうです。
半径500メートルにひきこもり、服も靴も買わず、節約してお家ごはんつくってるあなたは、経済成長に貢献していませんよ!!と。
じゃあ、うちは社会にとってレッドカードな家庭なの?
さらに、みんながステイホームして、料理しておやつつくって、子どもの面倒を見ていた期間は、最悪の時間だったの?
著者は、GDPっていう指標を追いかけるせいで、いろんな歪みが起きている。善き社会をつくるための、新しい指標が必要なんじゃない?って言っています。
そうですよね。ずいぶん前からそんな気がしてましたよ…。
というわけで、「最悪の家庭」について、もう少し考えてみたいと思います。
目次
1,GDPが上がっても幸せになるとは限らない
①GDPが測っているもの
GDP=国内総生産。
ざっくりいうと、企業がつくったモノやサービスが、マーケットを介してお金に変わった数字の総計って感じ。
ビルを建てたり高速道路を通したり、店に山積みの服や靴や食料品の生産、外食や旅行、美容院、マッサージetc. 材料費を除いた製品とサービスがカウントされます。
昔は無視された麻薬や売春などの闇経済も、計上する国がでてきたとか…。
モノを大量生産・消費して、善悪は抜きにたくさん遊べば、上がっていく数字ってことですね。
②GDPが測っていないもの
一方でマーケットで取引されていないものは、GDPから除外されています。
なので、無償労働であるボランティア活動とか家事労働はもちろん、マクドナルドのスタッフさんの笑顔とか、丸亀製麺の冬限定「麺の増量」みたいなものは計算に入ってない。
その上、スマホのおかげで電話も電卓もカメラもいらなくなったら、GDPはむしろ下がる。
技術が発展して便利になっても、評価してもらえないんですね。
③GDPは幸せの指標にならない
80年前にGDPの基礎を考案したのは、ノーベル賞受賞の経済・統計学者クズネッツさん。
しかし、本人は
「何のための経済成長か?が大事だ」
と言い、GDPの数字に軍事費や広告・金融の支出を含めることに懸念を表明していたんだそうです。
もちろんGDPの数字と、福祉の向上、健康の増進などは今でも相関があり、大切な経済指標であることに変わりはありません。
でも、毎日大量の広告にさらされ、必要以上のサービスやモノを消費し、そのために働きすぎて自由を失い、環境を汚すことにより数字が上がってしまうとしたら…。
「日本のGDPが中国に抜かれた!」「一人あたりのGDPが24位になってしまった」とか言われても、そう一喜一憂することでもないのかなぁって気がするんですよね。
2,セミリタイア主婦のつくる「最悪の家庭」とは
①GDPに貢献しない毎日
仕事をやめたら、惣菜・外食に頼る必要性が低下。「作るほうが楽」ってなり、健康的な食生活になりました。
バスルームは入浴後に古タオルで床や壁をさっと拭くことで、カビの発生が激減。プロの掃除を頼まなくてよくなりました。
週1のヨガ教室がつぶれたので、朝ドラの時間に毎日自分でヨガをするのが習慣に。おかげで腰痛が治り、ボディケア費も不要になった。
ベランダでミントやシソやパセリを育てるだけでも、お茶や薬味を買わなくなる…。
セミリタイアしてひきこもるほどに、日本のGDPを下げていっています。
②「最悪の家庭」は「最高の家庭」
「GDPの観点から言えば、アメリカで最悪の家庭は、家族として機能している家庭だ。すなわち、自分たちで料理し、夕食後に皆で散歩したり、話したりして、子どもたちを商業文化に任せっきりにしない家庭である」
『隷属なき道』
モノやサービスをつくる活動をはやめに切り上げて家に帰り、子どもたちに温かい食事をつくって、テレビや習い事に任せきりにしないで、散歩したり話をする……
ゆとりがあって、いい生活ですよね~?
そういう生活をすればするほど「最悪の家庭」と認定してくるGDP。なんだかなぁ~。
『隷属なき道』の作者ルトガー・ブレグマンさんは、
だからGDPに変わる、新しい指標をつくりましょうよ
って言っています。
経済をグルグルまわすために人を隷属させるのではなく、自由に自分らしく生きられる「本当の幸せの指標」をつくるべきだと。
③隷属とは。そして「隷属なき道」とは?
「隷属」って、最初は概念がよくわからなかったんですが、会社をやめてから、ジワジワと実感がでてきました。
超かんたんに言っちゃうと、
隷属=がまんして働く
ってことかな…と。
仕事を通して、社会貢献ができる力をつけ、自分を成長させるための耐性は必要かもです。
でも、健康的で幸せでない働き方をしていても、辞める自由がない状態で働き続けるのは「隷属」。
それをせざるを得ない状況もあるし、自が自分をそういう状態に追い込んで、他に選択肢はないって思い込んでしまっていることもありますけどね。
で、この本が提案する『隷属なき道』というのは、「ベーシックインカム」(すべての国民に一定の生活費を配る)という政策によって「がまんしなくていい働き方」をするということです。
衣食住や教育費や老後の心配がなくなり、個人は得意を生かして好きな働き方を選べる世界♡
まだ先になるでしょうが、AIやロボットの進化で、人間が「すべき」仕事は減っているので、いずれ実現可能なのだそうです。
④ベーシックインカム、気づいたらもうもらっていた
桜畑が生きてるうちに、そんな世界が実現するかはわかりません。
でも、今こうしてセミリタイア生活をしていると、自分はすでに「ベーシックインカムみたいなもの」の上に生きているんだなぁって実感します。例えば…
- 地球や社会が提供してくれるもの
- 空気、酸素、太陽、土、空、山、きれいな景色
- 街路樹や花や植木、公園、広場、ベンチ
- 膨大な蔵書のある図書館
- 公共交通機関や自転車が快適に走れる道
- インターネットやテレビの良質な番組や情報……etc.
- 自分も関与してつくったもの
- 貯金やその利息や利子、配当。いずれ出る年金
- まだ働いている配偶者の収入(笑)
- 無(低)収入で免除されるのに恩恵を受ける税金・社会保険
- ローンを払わなくなった家。
- すでにある服や靴や本やその他の持ち物
- それを売ることで入ってくるお金
- 育て上げた子どもからの情報や気遣い
- ご近所友だち……etc.
電車で1時間程度の旅行でも、海のスクリーン、空のドーム、青くかすむ山々。一瞬として同じものがない景色が見られます。
世界はもともと豊か。なのにそれを楽しめないほど時間がなかったり疲弊しながら生きてるとしたら……、ほんとうにもったいないですよね。
3,まとめ 「最悪のライフスタイル」を選ぶ勇気
- 空き家になった夫の実家を片付けたら、息子が結婚して住み始めました(*)
- 桜畑の両親も、片づけや支援に通うことで、ホームに入らず自立して生活できています
若者が家を買い、老人がホームに入ればGDPは増大するのに…。⇓
余計なことをして、経済発展を阻害するセミリタイア主婦です(笑)。
- 支出を減らしてお金を貯め、FIREやアーリーリタイアして節約生活をする人
- 最低限のモノで生活するミニマリスト
- キャンピングカーで旅行したり、自給自足生活する人
みんなGDPから見ると最悪のライフスタイルを選んだ人かもです。
そんな人ばかりになったら、経済が回らなくなる=国民が不幸になるって思いこんできた私たち。
でも余計な労働が減り、廃棄物が減り、環境問題が解決するかもしれません。
じゃあ、いちばん困るのは誰なのか?
経済がグルグル回らなくなって困るのは、資本家=既得権益者。
大半の人は「最悪のライフスタイル」をつくった方が幸せになれるんじゃないかな?と思います。
絶え間ない経済発展を目指すグルグルの渦に巻き込まれ、なんでこんなに忙しいのか?なんでやりたいことができないの?と思っている方。
ぜひこの本を読んで、考えてみてくださいね!
それではまた~!