「モーニング・ページ」=毎朝思い浮かんだことをノートに3ページ書き出すというシンプルな習慣。論理脳を黙らせて、クリエイティブな脳を元気にするこのメソッドに、興味をもってはじめている人がたくさんいるみたいですね!
一方で、「続かない、効果がない…」という感想もよくみられます。早起きが苦手、朝が忙しい…などの物理的な原因も大きい。ですが、もっと大きな原因は、セットで行うべき「アーティスト・デート」を実践していないってことなんですね。
『ずっとやりたかったことを、やりなさい』の作者、ジュリア・キャメロンさんは、創造性を取り戻すツールとして、「モーニング・ページ」とセットで「アーティスト・デート」を実践することを、本の冒頭で力説しています。
桜畑はセミリタイア後、この本に出会ってモーニング・ページを始めてから、1年半。ノートを書き、毎週ひとりでどこかに出かけることも実行してみました。
で、さいきんやっと、「アーティスト・デート」の効果的なやり方がわかってきた気がするので、そのコツについて書いていきますね。
目次
1,アーティスト・デートって何? 芸術家じゃなくてもおすすめの理由
①モーニング・ページは泉から知恵を汲み出す作業
「モーニング・ページ」とは、毎朝いちばんに、思い浮かんだことを3ページノートに書くシンプルなワーク。論理的な脳をシャットダウンして、心の深いところにある知恵の泉から、アイディアや創造的ひらめきを汲み出すための習慣です。
*参考
【朝活】モーニングページって何?本当のやり方と効果。知恵の泉にアクセスすると人生が変わる話。
②アーティスト・デートは泉を満たす作業
それに対して「アーティスト・デート」は、1人で行う「ぶらぶら歩き」や「小さな体験や旅」のことです。
創造の源となるひらめきやイメージをキャッチしたり、具体的な行動にうつすために、大きな力を発揮します。
③モーニング・ページとセットにする理由
キャメロンさんは全米で何千人もの人にワークショップを行っていますが、最も実践しづらいのがこの「アーティスト・デート」なんだそうです。
でも、毎朝ノートを書くだけでは、創造の種が枯渇してまいます。最低でも毎週1~2時間はスケジュールに組み入れることを強くすすめています。
モーニング・ページは自分が何を考え、何を必要としているかを知らせてくれる。私たちはそれによって問題のありかを突き止め、自分がどんなことに関心をもっているかを知る。それが祈りに似た第一のステップである。第二のステップであるアーティスト・デートでは、その解決策が見えてくる。おそらくそれに劣らず重要なのは、アーティスト・デートによって、実際の創作に役立つ素材が蓄えられることだろう。
『ずっとやりたかったことを、やりなさい』
2,具体的にどこに行って何をしたらいいの?
①子どもの頃はみんなやっていた
アーティスト・デートっていうと難しく感じますが、大丈夫。子どもの頃、あなたもやっていたはず。
学校の帰り道、たんぽぽの綿毛を集めて吹いたり、犬や猫と会話したり。近所の野山や池で、虫やザリガニ採りとか。
駄菓子屋や文房具店で、安いガムや雑貨を買ったり(←昭和www.)
自転車で隣町に出かけ、知らない町並みを眺めたり。
どれも無料か大してお金がかからないけど、好奇心のままに動き、ワクワクしてましたよね。
それと同じことを、大人なりにやってみればいいんですね。
普段、あまりしないような興味をそそられる活動を選ぼう。それがーー「アーティスト」の部分だ。次に計画を練りーー「デート」の部分ーーを予想して楽しむ。
5ドルをもって近所のディスカウントショップに行き、黄金の星のステッカー、ミニチュアの恐竜、はがき、スパンコール、ノリ、子ども用のはさみ、クレヨンなど、ほんのちょっとしたものを買う。毎日、モーニング・ページを書いて、封筒に入れたら、黄金の星の金のステッカーを貼ってもいい。むろん、単なる楽しみのために。
引用は『ずっとやりたかったことをやりなさい』または『いくつになってもずっとやりたかったことをやりなさい』より。(以下同)
②出かけるのにいい場所 具体例
まずは、キャメロンさんの著書に出てくる「アーティスト・デート」の行く先をピックアップしてみましょう
- 街で
- 大型雑貨店 ディスカウントショップ 食料品店 ベーカリー 園芸店
- 古い映画館 アートギャラリー 写真展
- 書店 子どものための本屋
- 大きな時計店 水槽用具の販売店
- アミューズメント(レジャー)施設
- 水族館 動物園 野草園
- 郊外・田舎で
- 長い田舎路の散歩
- ビーチで日の出や日の入りを見る
- 森へ行く
- スポーツ
- ボウリング スイミング キックボクシング アイススケート ダンス
- 小旅行
- ドライブ 異国の風景や音を味わう近隣の国への旅
- 聖なる場所(Holy place)
- 教会(ゴスペルを聴くなど) 礼拝堂 図書館
③日本人ならこんなところも
『ずっとやりたかったこと…』はアメリカ人向けの本なので、上記に加えて、日本人ならこんなところもいいかなぁと思います。
●神社仏閣 城跡やお城 /●高尾山などハード過ぎない登山
いわゆるパワースポット。心が浄化する感じがしていいですよね。山歩きにもなるし。
●100円ショップやロフト、東急ハンズほかDIYショップなどの、ふだん行かないコーナー(おもちゃ・画材・マニア向け工具など)
予算500円で、工作・手芸なんかもいいですね。桜畑は100円ショップの時計とフォトフレームとタイルシールで時計を作りましたよ!
⚫イケア、フライング・タイガーなどの海外発の雑貨店
北欧デザインの雑貨、ユニークなものが多くて見るだけでも楽しいです。
⚫ディスニーランド、ムーミンバレーパーク、ユニバーサル・スタジオ、長崎ハウステンボスなどのテーマパーク
お金に余裕があれば夢の国にひたるもよし。大人の楽しみが発見できそう。
ちなみに桜畑が好きなのは、こんなところです⇓
郊外の散歩道 里山 道祖神やお地蔵様 渓流 人気の少ないガラスの温室 海の見える場所 地方の小さい博物館 静かでナチュラルな感じのカフェ
3,実際に行ってみた うまくいく法則は?
①最初はなかなかしっくりこない
セミリタイア後、最低週に1回を心がけて、公園や映画館、植物園、海の見えるカフェなどに独りででかけてみた桜畑。最初はなかなかしっくりこない。
長く「お母さん業」「会社員」をやっていると、ずーっと、子どもを楽しませることや相手に気を使うことに、頭と労力を使ってたから…。
ひとりで楽しもうとすると落ち着かないんですね。謎の罪悪感や、ひとりでいる居心地悪さが邪魔をしてくる。
でも、回数を重ねるうちに慣れてきます。ひとりだと好きなルートとペースで移動できます。途中で心ひかれた店に入ってみたり、ゆっくり花の写真を撮ったり。誰かといたら絶対できないことができる!
すごいことですよね。
子どもたちが小学生のときは、大好きな海の生物と24時間過ごせるように、一家で水族館に泊まりにまでいった桜畑。それくらい全力で自分を楽しませられるようになりたいなぁ…。
②直感にしたがう「リベンジ旅」
冬の終わり、旅行好きの友人から、LINEで満開の梅園の写真が送られてきました。
それを見てとつぜん脳裏に浮かんで離れなくなったのが「もぐさえん」というワード。
なんだっけ?「もぐさえん」…?
そうだ、何十年も前に友人から「いいところだよ!」ってすすめられた梅の名所「京王百草園(けいおうもぐさえん)」(東京都日野市)のことか!
梅の季節に車で出かけたら、駐車場が満杯。目的を果たせず、すごすごと家に帰った残念な思い出が蘇りました。
そうだ!あの時のリベンジをしよう!
バスと電車を乗り継いで出かけた「百草園」は、びっくりするほどの急坂の先。はぁはぁ言いながら登って園内に入れば、さらに坂道と階段。これ、もはや登山じゃね?体力不足と足元が心配に。
でも満開の紅白ピンクの梅に囲まれて歩いていると、足元にも早春の花々が咲き乱れ、しあわせ~な気分。
見晴台までなんとか上がると、吹き抜ける風と見渡すばかりの花園、はるか遠くにかすむ新宿ビル群。ちょっとした散歩のつもりが「登頂成功!!」の達成感も加わって大満足です。
③偶然の出会いが起こる
帰り道は少し遠い最寄り駅までの散策路をぶらぶら歩きます。起伏のある住宅街から、畑の間の細道に迷い込んだら、そこにも思いがけない風景が広がってました。
幼少期に住んだ郊外の山の上。坂をくだって行く野道に咲くスミレやタンポポ、近所の友だちとおやつを食べたオオイヌノフグリが一面に咲く斜面。
春になるといつも思い出す懐かしい光景に、そっくりの場所が次々と目に入ります。思いがけない場所で「心の故郷」に出会えて、とっても癒やされてる自分に気づく…。
最後には北海道に住んでいたときによく眺めていた牛さんにも出会えました。
④成功するアーティスト・デートの法則
この経験で、やっとアーティスト・デートが何たるかわかってきました。
「どうしても今、行くべきと思える」「なんだか妙に気になる」「行けると思うとワクワクする」などの感覚が先にあることが大事なんだなぁということ。
初めての場所はルートや天気や体力が気になったりするもんですが、えいやっと出かけてしまうこと。
あまり調べずに出かけ、気ままに動くと、偶然の出会いが起こりやすいこと。
思いがけない坂道とか、道に迷うとかも含めて、小さい冒険に挑戦すると思いがけないプレゼントがあること。
特に、昔やりたかったのに挫折したことにリベンジすると、満足感が高まるということもわかりました。
魔法は喜びや楽しみをもたらす活動の中に潜んでおり、義務的にこなす活動の中にはない。だから、できるだけ自分にとって興味のあることや、関心を抱けるものを探求してもらいたい。そして、うまくやろうとせず、神秘を大切にしてほしい。
4,アーティスト・デートってどんな効果があるの?
①創作の素材が蓄えられる
最初に書いたように、アーティスト・デートのそもそもの目的は、「創造の泉」を満たすこと。
『楽しいムーミン一家』で、ムーミンがひろった「飛行おにの帽子」。ムーミンママがうっかり帽子に放り込んだ「ピンク色のつる草」が家中をジャングルに変えました。
そんなふうに、きれいなもの、かわいいもの、不思議なものの記憶を、帽子=脳にポンポン放り込んでおくと、のちのち思いがけないものに形を変えて出てくるって感じですね。
桜畑はアーティストではないけど、出かけたときに見たもの感じたもの、撮った写真が刺激になって、新しい花を植えたり活けたり、インテリアや服の色を変えたくなったりしました。もちろん、SNSやブログの発信のもとになったりも。これも一種のアート活動なのかな?と思います。
アート作品をつくる作家さんや芸術家にとっては、さらに大きな効果があるんでしょうね!?
②エネルギーを回復する
電車やバスで知らない風景を見たり、歩いたり、新しい空気を吸う。五感にいろんな刺激を得ることは、単純に人を元気にしてくれます。
帰ってきてからも、美しい風景を思い出したり、写真や手に入れた小物をを見たり、それについてモーニング・ページに書いたり、その文章を読むことで、幸せな気分になれます。
毎日つい同じところで同じことをしてしまいがちなひきこもり体質な桜畑。意図的にアーティスト・デートを重ねることで、脳の使ってなかった部分が活性化していく感じがしています。
③自分の道を歩く自信がつき、世界が広がる
ひとりで知らない場所に出かけるのは、次にどっちにいって何をするか?考えて決めることの連続。決断力が上がって、自信がついてきます。子どもの頃から人の後ろを歩いていた自分が、だんだん変わってきたかな?って思います。
出かけたところは、グーグルマップで「保存」しておきます。
地図を開いた時に行ったところのマークがでるので、脳内で再訪問。地図が立体的に見えてきます。世界がぐぐーっと身近になった、広がった感じがするので、ぜひやってみてくださいね。
④人とのつながりが活性化する
ひとりで出かけて見たことや感じたことは、身近な人にシェアしたくなります。
帰ってきて人に経験を話すと、相手も新しい場所を知り刺激になります。離れて暮らす家族にも、LINEで写真や文章をすぐ送れます。忙しく働いてる子どもたち、体が弱って遠出が難しい親も、一緒に楽しんでもらえます。
「百草園」を教えてくれた旧友にも、久々に連絡してみようかなぁ?
ひとりで出かけているのに、人とのつながりが活性化するっていうのも、アーティスト・デートの不思議で強力な効果ですね!
孤独や孤立の感覚は、往々にして人間関係や他者とのつながりが不足しているからではなく、自分自身との関係ができていないゆえに生じる。体験するまでは信じがたいかもしれないが、アーティスト・デートは一人で行うにもかかわらず、孤立を打ち破る。なぜならアーティスト・デートで培われるのは、自分自身との関係だからだ。自分と親密になれば、たとえ物理的に一人でいても、楽しんでいられる。
5,「実践できない」「やったけどうまくいかない」ときの対処法
①出かけられない
朝の少しの時間とノートと筆記具だけで実践できるモーニング・ページ。それに比べてアーティスト・デートは、もっと時間とエネルギーが必要なので、ハードルが高いですよね。
家事や仕事でいっぱいいっぱいだったり、家族との時間が不足しているのにひとりで出かけるの?という抵抗感とか。
なので、最初は小さなステップで、近所の100円ショップに15分行くとかでよいと思います。ついでに季節の新色の服や靴を眺めるかもしれません。それを買って、日帰り旅行に行くかもです。
まずは自分で自分に許せる小さなことからはじめましょう。
②それほどおもしろくない
行ってみたけど、ひとりじゃつまらなかった、残してきた家事や仕事や家族が気になって楽しめなかった…ということもありますよね。
桜畑も最初は家から出ることさえもめんどう(笑)だし、ひとりだとソワソワしてしまいました。
でも回を重ねるうちに、脳と体が慣れて、マイペースの気楽さのほうが勝ってきます。人の視線も気にならなくなりました(誰も大して見てません)。
抵抗感のある人は、荒療治として、多少お金をかけ、ずっとやりたかったけど、家族や仕事のせいでできなかったことに挑戦してみましょう。
ひとりだけの温泉一泊旅行とか、推しのライブとか…?
何日も前から楽しみ! ワクワクがとまらない! と感じることがおすすめです。
「家族や仕事を脇に置いた罪悪感以上の喜び」が得られたら、次からのアーティスト・デートは、ずっと楽にできるはず。
そんなのムリ!!と思う人は、「善人の罠」にはまっているのかも。
下のテストをやってみましょう。⇓
③やってみよう!「善人の罠」クイズ
アーティスト・デート提唱者のキャメロンさんは言います。
子どもの頃「わがままを言うな」と繰り返し言われてきた自分こそが「本来の自分」「他人の欲求に振り回されず、自分の欲求を肯定できる」存在。
でも、しつけや教育によって、「善人の罠にとらわれた人たち」は大人になっても本来の自分を受け入れられない。「世間から反感をかうのが怖くて、自己を前面に押し出せない」と。
そこで用意されているのが下の【善人の罠クイズ】。
これも、モーニング・ページを書いているノートに書き出すのがおすすめ。
書いたらときどき見返して、本来の自分がしたいことを計画に入れたり、実行していきましょう。
- 【善人の罠クイズ】
- あなたの人生でもっとも欠けているのは?
- あなたの人生でもっともうれしいことは?
- もっとも時間をかけて打ち込んでいるのは?
- 仕事の心配をせずに遊べるか?
- どんなときに罪の意識を感じる?
- 心配事は何?
- あなたの夢が実現したら、家族はどうなる?
- あなたが自分自身を妨害するとき、何を考えている?
- 好きなだけ怒っていいとしたら、何に怒りを感じる?
- ときどき悲しくなる理由を一つあげてみて
アーティスト・デートは回を重ねるごとに、だんだんやるのが楽になるし、わくわくした気分を伴うようになる。実際にあなたが築いているのは、自分自身との関係だ。この関係が、すべての関係の核になる。自分自身とつながる努力をすると、他者とつながる能力が飛躍的に高まるのだ。
6,まとめ アーティスト・デートで、自分の心に養分を与えよう
キャメロンさんはシリーズ最新刊『いくつになっても、「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。』の中で、定年退職後、出かけるのがおっくうになった男性にこんな意味のことを言っています。
「アーティスト・デートは自分に遊ぶことを許して、楽しむ練習をすることなの。その結果、若々しい自分とつながっておもしろいアイディアがでてくるはず。生活の質は喜ぶ能力の高さで決まるのよ!」
セミリタイア後、ひきこもりな自分に鞭打って出かけているうちに、しみじみわかってきたのは、
アーティスト・デート=自分を喜ばせる練習
ってことです。
子どもの頃もっていた自分を喜ばす能力。
大人はその能力をすご~く弱められてしまっている。
なぜなら、家庭や学校や社会から「人様や社会に役立つ人材」として教育されちゃうから…。
でも、人生100年時代、幸せに生きて死ぬためには、みんなが「日々自分を喜ばせる能力」を、磨いておく必要があるんですね。
なので、「モーニング・ページ」とセットで行う「アーティスト・デート」(1人での気ままなお出かけ)。アーティストじゃない人も、ぜひぜひやってみてくださいね。
最後に、キャメロンさんが提案している「アーティスト脳に切り替えるための作業・活動」のリストをのせておきましょう。
生活の中で五感をつかって行う「ミニ・アーティスト・デート」的な活動。あなたも探してみてください。
それではまた!
- アーティスト脳に切り替えるための短い活動
- すばらしい音楽に10分耳を傾ける(瞑想効果)
- ドラムのリズムに合わせて5分裸足で踊る
- 野菜の皮をむく、切る
- 縫い物をする
- シャワーを浴びる 体を洗う ひげ剃りなど
- 短い運転