こんにちは!桜畑です。好評の「会社脳から脱出する」シリーズ、最終回は「マイペースに休む」です。
桜畑も勤続30数年中、結局一度も有給を消化できなかった昭和の「the・カイシャイン」。年末まで有給を残す理由は「病欠に備えて」(笑)。1年の仕事の疲れで熱を出したりするからですね。
なので、セミリタイアしたら、どうやって休息したらいいか?とまどいました。
人間にとって本当の休息ってなに? そんなことを考えてみたいと思います。
こんな疑問に答えます
会社員は、なぜ休めない?
人よりたくさん休むと、どうなってしまうの?
本当の休息ってどういうこと?
目次
1,会社員はなぜ休めない?
①会社という吸引力
「休めない」というと、思い出すのは村上春樹の『アンダーグラウンド』。地下鉄サリン事件の被害者62人の詳細なインタビューや「オウム真理教」の真実に迫ったノンフィクションです。
事件の奇怪さもさることながら、体調の異変を感じながら、「とにかく出社しなければ…」と職場を目指したサラリーマンの多さに、当時、驚愕しました。
あれから25年。在宅勤務が少し広まったものの、コロナ禍の危険な都会に、多くの労働者が、乗車率の決して低くない電車で通勤し続けてることに、改めてショックを受けています。
会社って、なんでそんなに吸引力があるんでしょう?
②休みたいのに休めないメカニズム1 空気を読む社会
旅行通販会社「エクスペディア」が実施する世界各国の「有給休暇調査」によると、日本人の有給取得率は2019年まで、4年連続の最下位。そして「有給を取ることに罪悪感がある」と答えた割合も突出していたそうです(2017年調査)。
2019年4月にようやく「有給5日間の義務化」がスタート。有給取得率は少しだけ改善しているようですが、働き方改善ナビゲーターの志村和久さんは、著書『会社を休む練習』で、「周囲に異常に配慮し、同調することに潜在意識的に心地よさを感じる日本人の特性のあらわれ」と分析しています。
③休みたいのに休めないメカニズム2 刷り込みと承認欲求
志村さんは、サラリーマンが休暇をとることに異常に抵抗する理由として以下をあげています。
- 「働く=善」という社会からのメッセージの影響(体験していなくても体験として記憶される)。
- 休むとみんなに迷惑。仲間はずれ、陰口や評価低下への懸念=心がざわつく=危険というシグナルが出る。
- 会社・上司に認められたいとか、出世への欲求。(この種の承認欲求は、他者との比較で成り立つので永遠に満たされない)。
言われてみると、誰でも心当たりがありますよね。逆に言えば、社会や組織は、人が自分から上を目指して仕事に邁進するよう、強固なしくみを長年かけて作り出してきたということ。コワイですね。
2,本当の「休息」とは?
①40代での休職
自己紹介にも書いていますが、桜畑は40代なかばで半年以上の病休をとりました。最初は家でごろごろ、うつうつした日を送りましたが、3か月後、ガバっと飛び起きて(?)「ずっとやりたくてできなかった」2つのことを実行……。
「楽器のレッスン」と「筋トレ・ヨガ」です。「家から出なくてやばい!」「筋力低下がやばい!」という強迫観念からでしたが、今思うと、これが本当の休養だったんですね。
②休息の3つの種類
前述の『会社を休む練習』には、以下の3種類の休息があると書かれています。
- 身体を休め回復する
- ストレスなど精神的な疲れを開放し回復する
- 自分の時間を取り戻す
具体的な休息法には言及がないのですが、私のイメージはこんな感じ👇
1、身体を休め回復する
風邪症状や頭痛やまめい、けがなどの症状があるとき、または心底くたびれているとき。ごろごろウトウト、寝床やソファに横たわって起き上がれなーいっていうとき。
テレビやスマホを眺めるなど受動的な活動だけ。回復するまでじーっと待つ。
2、ストレスなど精神的な疲れを開放し回復する
脳が疲れている状態。瞑想や音楽、自然の中で過ごす、映像の鑑賞、買い物、外食、おしゃべり、家族と過ごすなど、受動と能動が半々な活動で回復。
気のおけない人と気楽な余暇を過ごす。難しいことは忘れて、リラックスすることで、元気がでます。人によっては、ゲームもありかも。
3、自分の時間を取り戻す
会社に拘束されているストレスは、意外と大きい。自由に、本来好きだった活動にとりくむ時間をとる。
ドライブや旅行、スポーツ、読書、勉強、楽器演奏、手芸、副業など。②より能動的で自己啓発的な活動の方が、自分を取り戻した感じがありそうです。
③自分を取り戻すのが、本当の休養
半年超の休業期間、1→2→3の順にできるようになっていきました。
後半に始めた音楽と運動は、3の「自分の時間を取り戻す」のカテゴリーですね。
休息というと身体を休めるイメージがありますが、「本来したかった、遊びに近い活動」をする(できる)ことが、人間にとっての「本当の休暇」なんじゃないかな、と思います。
無事に復職OKになったのは、「3」の活動が楽しめるようになったから。
「そう言えば我を忘れて遊ぶ時間がないなぁ~」と思う人は要注意。長めの休暇をとって「小学生の夏休み」を取り戻しましょう。
4,セミリタイア生活の休み方は?
①最大の敵=メリハリがない
さて、リタイアして「毎日が日曜日」になると、長時間労働やストレスがないので、前述の1や2の休養の必要性は、あんまりなくなります。
ってことは、3の「自分を取り戻す時間」がいっぱいあるわけですね👍
そんなセミリタイア生活の落とし穴は「やりたいことをやりすぎる」(笑)そして、「メリハリがなくなる」です。
会社というタイムキーパーがなくなった分、「休息」も自己管理しなくてはなりません。
②睡眠負債をつくらない
「睡眠負債」ということばを知っていますか? 毎日の寝不足が少しずつ溜まっていくと、債務超過に達して様々なうつ病、心疾患などの病気を引き起こす状態のことです。
スタンフォード大学が行った過去277の研究をまとめた結果、良質な睡眠の条件は以下を満たすこと。ひとつでも当てはまらないと睡眠負債の可能性が高くなるといいます。
- 眠りに落ちるまでの時間が10分以内
- 夜中に起きるのは1回まで
- 夜中に目覚めた場合、10分以内に再び眠ることができる
- 総睡眠時間の85%以上を寝床でつかっている。昼寝や通勤電車内での居眠りなどの合計が15%を超えない
桜畑は基本的に、上記をすべてクリア。セミリタイア生活は、自由だからこそ、起床就寝時刻を守らないと、時間を有効に使えずもったいないですからね。崩れても12時台までには寝る。7時台には起きる…を死守しています。
③一週間の中で休みをとる
休み明けのゆううつもない分、週末のワクワクも特にないセミリタイア生活(*)。あまりに自由すぎるとかえって不安になったりします。
たとえばコロナ自粛期間、楽器演奏で集まる日もなくなり、曜日の感覚が消滅。なので「ジムの無料体操教室」「図書館休館日の公園散策や映画」など、意識して曜日固定の予定をつくりました。「昼からジムでお風呂タイム」「人の少ない公園でまったり」でひとり休日気分。
学校や会社では、自然にできていた平日←→休日の流れ。これを自分でコントロールするようになると「自律・自立」を実感でき、自分管理職になった満足感も味わえますよ。
*参考 50代セミリタイア 仕事と共になくして残念なもの/よかったもの ランキング
④疲れがたまった時
桜畑は会社員生活が長い割に、実は内向的で、人の中や知らない場所にいる時間が長いと、ぐったりするタイプ。
たまの旅行やイベントのあとは半日~1日、意図的にごろごろし、活動停止期間をとります。夕食も「好きなもの買ってきてー」と夫に丸投げ。それはそれで目先が変わっていいんです。
だんだん私が家にいることがバレてくると、友人知人からは愚痴をきかされる羽目に。聴くだけで相手がすっきりするなら耳を傾けたいと思うものの、平穏な海で、突然大波をかぶるみたいで、その後は精神的にぐったり~(笑)。
聴いた愚痴は、差し障りのない誰かにきいてもらったり、モーニングページ(*)に吐き出したり。愚痴とはいえ、人の話は平和な暮らしにちょっとした刺激と、新しい視点を与えてはくれます。
もう少し受け流して、相手もラクになるような「聴く技術」を磨きたいとは思ってますが…。
*参考 朝活】モーニングページって何?本当のやり方と効果。知恵の泉にアクセスすると人生が変わる話。
5,まとめ 「休もう」「自由になろう」と言ってあげられるのは自分だけ
①「休んでいいよ」と自分に言おう
休職期間中に通ったカウンセラーと「休んでいる罪悪感」について話しあった時。
「体調を崩して家にいる自分を、もうひとりの自分が見ているとしたら、なんて言ってあげますか?」と、映画の観客のようになる(客観的にみる)ことをすすめられました。
そうすると確かに「今まですご~くがんばったよねぇ、もう少しゆっくりしてもいいんじゃない?」と、自然に声をかけられて、自己肯定できるんですよ。
復職後もカウンセラーの面談時は、残業はしているか、どのくらいか。眠れているか、音楽、運動を続けているか、週末どうしているか…などをきかれます。
このおかげで、仕事や家事、家族のことでいっぱいになっていないか?自分を生きる時間がとれているか?を自分でもチェックできるようになりました。
②休むと損?結局は得!!
長期休暇をとり、その後の働き方をゆるめに変えたことで、立場や年収に影響は出ました。同じような症状でも、だましだまし続けている家族のある男性たちが、なぜ休めないかも納得。
ただ、国によっては中年期以降、自分から労働時間を減らしたり降格し、それに応じた給与を選ぶ制度があるとか。私もそうできればなぁ…と思っていたら、偶然それに近い状態を手に入れたので、ある意味ラッキー(笑)とも思いました。
55~60歳で「役職定年」と称し、同じ労働時間で給与を大幅に下げる多くの日本の大企業は鬼畜。「働く時間&収入」をセットで、本人が選択できたら、双方に納得感があるのになぁ、と思います。
そして、ある程度生活費を確保してるなら、残りの収入は捨て、「週休7日」をGETすることは、本当に価値が高く、おすすめです。
不可抗力で寂しく定年退職するより、自分で決めた日に退職して、人より早く自由時間をデザインしていく方が気持ちいいですからね。
リタイア生活まで先が長いという人は、今日からでも「マイペースに休む習慣」をつける練習をしましょう。死ぬ前に「働き過ぎ」を悔いても、「休み過ぎ」を後悔する人はいませんよっ!
それではまた!