こんにちは~!桜畑です。昨年後半はブログの更新が止まってしまいました。
「しばらくヨーロッパに出かけていたので、ごめんなさい~」
とか言ってみたい中高年ニートのセミリタイア主婦です。
じゃ、何をやっていたのか???
ずばり、高齢の両親の引っ越しです。
- 母、地元のホームへ入居→
- 父、一人暮らし崩壊→
- 父、サ高住へ転居→
- 母、父の隣のホームへ追っかけ転居
というわけですね。
入所、一人暮らし、引っ越し…また入所。
そのつどの環境整備や打ち合わせ、各種手続きが発生し、悩みやも山のようにあり、夜もよく眠れず…。
のんびりノートやブログを書く余裕がなくなってました。
果報は寝て待て
その間にこのブログの基本アプリであるワードプレスが勝手にバージョンアップをして、ブログのレイアウトがとんでもなく崩れていました(ギャー!)
折りを見て手直ししてたものの、もうアカーン! プロに頼もう!
と思ってからさらに2~3週間放置。
いつの間にか、崩れたレイアウトがほぼ元に戻ってました。
多分ワードプレスの上で動かすデザインテーマ「アフィンガー」が、新バージョンへの対応をすすめていってくれたのでしょう。
今まで生きてきていちばん「果報は寝て待て」を実感したできごとでした👍
というわけで、80代、90代の高齢者の施設探しと引っ越しについて、書いていきましょう。
こんな疑問に答えます
- 父親の自宅生活が限界になったらどうする?
- サ高住って何?どんなメリットがあるの?
- 本人を説得するコツは?
1. 90代一人暮らし 自宅生活が限界になったら
1.1 父の一人暮らしの背景
父がひとり暮らしになったのは2023年2月。圧迫骨折で歩行困難となった母が、近所の有料老人ホームに入居となってからです。
ヘルパーさんや家族の助けを借りながら、初めてのひとり暮らしスタート。
その対策など詳しくは⇓
参考 実家が「売れない事故物件」になる恐怖! 92歳の父、一人暮らしデビュー対策
1.2 引っ越しのきっかけ
92歳とはいえ、洗濯やかんたんな調理、買い物は自分でやっていた父。週2回のヘルパーさんと週1回の私や姉妹の助けでなんとか生活していました。
「ひとりのほうが気楽でいい」と強がっていたものの…
- 規則正しく生活できない
- 話し相手がいない
- 食事が偏る
- 掃除や片づけができない
- 体調や老い先の不安
等々で、夏には体調を崩して食も細り、「やる気が出ない」とゴロゴロ。
週1で訪ねると、放置された新聞紙の中からしなびたバナナの皮(キャーッ)
キッチンにはコバエやそのお子様が大量発生…!(ウッギャァー!)
父が「もう限界」と口にしはじめ、同時に娘3人も「ムリー!!」となりました。
母から「お父さんももう、施設に!」と司令がくだり、施設探しスタートです。
2. なぜサ高住? どう選ぶ?
2.1 高齢者施設の種類
桜畑はシニア向け雑誌の仕事で、30年以上前からさまざまな高齢者施設の見学やルポを書いたりしてました。
「雑居部屋で寝たきり」がデフォルトだった80年代前半頃からみると、今の施設は「個室主体で自立を支える介護」だし、施設も広くてきれいです。
さらに、2000年の介護保険スタートで、介護福祉士やヘルパーが国家資格になり、施設数も拡充。超高齢化の大介護時代に向けて、官民挙げてがんばっているなぁと思います。
自宅で暮らせなくなったお年寄りが入る主な施設には、ざっくり以下の5つがあります。
①特別養護老人ホーム
要介護3以上の重度でないと入るのが難しい公的施設。安価だが供給が限られ、都市部では空き待ちが2,3年がふつうです。
②有料老人ホーム
50年ほど前から作られ始めた民間が運営するホーム。設立当初は入居金3,000万以上、風光明媚なリゾートに建つ富裕層向き高級ホームが中心だった。やがて、早々に亡くなっても返金されないなどの鬼システムが社会問題に。
介護保険の導入後、入居一時金なし、または数100万円のホームが急激に増加。団塊の世代の高齢化に向け、中流層が利用できるようになりました。
③介護老人保健施設(老健)
病気やけがで入院したお年寄りが、自宅に戻るまでのリハビリ、つなぎ施設として1987年に創設された施設。
当初は入居期間が限定され、リハビリ期間が終わると自宅に戻す前提でした。実際には帰宅が困難な人の生活の場となり、看取りも増えて特養との線引が曖昧になってきています。
④サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
超高齢化社会目前の2011年、高齢者の賃貸住宅難や、自宅での老々介護問題の切り札として厚労省と国交省が基準化した賃貸住宅です。
バリアフリー構造で、緊急通報装置や24時間のセキュリティを設置。日中はフロントに生活相談員が常住し、任意で食事サービスや介護保険サービスを受けることができます。
⑤その他 ケアハウス、グループホームなど
ケアハウスは経費老人ホームの一種で、収入の少ないお年寄りが安価で入れるホーム。
グループホームは主として認知症のお年寄りが、家庭に近い環境で暮らせるホームです。
2.2 なぜサ高住を探したか?
圧迫骨折で歩行困難となった母が入ったのが④の「有料老人ホーム」。
父も施設に…となったら、ふつう同じところに入所を考えますよね。
でも父は介護が不要な自立老人。洗濯機と風呂のある部屋がいいと言うのです。
部屋にお風呂のついた有料老人ホームがないわけではありません。
たとえば、父が「この部屋に入る」と見せてきたチラシは「住宅型有料老人ホーム」。
居室にミニキッチンとユニットバス付きですが、入居金は1000万円超、月額利用料が30万~40万円超。
しかも要介護状態になったら、利用料以外に介護保険で費用を負担する方式です。
アクセスも悪く、即却下しました。
居室に風呂があって、洗濯も毎日自分でしたい!という92歳が入る施設(住居)となると、上記④の「サ高住」一択なんですよね。
2.3 サ高住の探し方①自宅近くで探す
①自宅近くの施設のメリット
住み慣れたホームタウンで最後を迎えられたら、それがいちばんです。そのメリットは⬇
- 情報が入ってきやすい
- 土地勘がある
- 引っ越しが楽
- 家と施設を行き来できる
- 景色や環境が変わらない
- 病院や店を変えなくてよい
- 人間関係を変えなくてよい
②いざ見学 その1
まず見に行ったのは、自宅から車で10分ほどのサ高住。自宅を建てた住宅メーカーの系列なので気にいるかな?と思ったからです。
サ高住A
- 大手住宅メーカーが運営。駅徒歩14分(定期バスあり)。
- 1SLDK約50平米。入居時の敷金が約15万円、仲介手数料約17万円。(当時の空き部屋)
- 月額料金は約22万円(家賃約15万、共益費約2万円、生活支援サービス約4万円)。
- 食費や光熱水費、介護・医療費は別です。
高級感があってきれいでしたが、父は集合住宅そのものに拒否反応。「あんなへんなところには入らない」と一蹴。
人気なので広い部屋しか空きがなく予算オーバー。独り用のコンパクトな部屋は当分空きが出そうもないとのことで、私達もあきらめました。
③いざ見学 その2
サ高住B
- 福祉生協が運営する施設。形態は住宅型有料老人ホームだが、サービス内容はサ高住とほぼ同じ。
- 個室18平米 入居金約90万円
- 月額料金22万50000円(賃料15万5,000円 管理費、運営費6万5000円)
- 食費、光熱水費、介護・医療費は別。
部屋にバスルームはなく、大浴場方式。建物が古くて壁紙やタイルがいたんでいること、大浴場も昭和な感じだったため、やはり「汚くて無理」と父は拒否反応。
夫も駆り出して車で見学させただけに、がっくりです…。
2.4 サ高住の探し方②子どもの家の近くで探す
①なぜ、子どもの家のそば?
高齢者にとって環境が変わるのは過酷なことで、引越し後に認知症がすすむこともあります。
でも、介護する側の負担軽減や経費を考えると、子どもと近居するメリットも大きいのです。
②妹の家の近くという案
父の施設選びがすすまない中、父はシングルの妹に「一緒に住んでくれないか?」と説得を開始。
自分は不便な山の上に住んで、都心でフルタイムで働く妹を同居させようなんて…!
それじゃ妹は、仕事もある上、主婦兼、ヘルパー兼、看護人兼、カウンセラーになってしまうじゃないか!!
自分の生活を変えようとしない父にイライラしてきた桜畑。
思わず、妹の住む東京都下のホームを検索し、「そっちが妹のそばに来たら?!」と家族LINEに情報を送りつけていました。
すると即、妹から
「ここ、いいじゃない。夫婦で来てくれたら、私がサポートするよ!」
と前向きな反応が…?!
しかも、勢いで見つけたこのサ高住C、条件がとてもよかったんです。
③父にぴったりのサ高住とは
サ高住C
- 介護事業会社大手が運営。駅徒歩14分。同じ建物の中に有料老人ホームが併設。
- 個室約27平米 入居時の敷金が18万6000円 (当時の空き部屋)
- 月額料金15万500円(家賃9万3000円 管理費3万円、基本サービス費2万7500円)
- 食費、光熱水費、介護・医療費は別。
これはいいかも!というので妹と見学に。
何がよいかというと⬇
- 部屋は独り暮らしにちょうどいい広さで、地元に比べるとリーズナブルな価格設定
- 築浅で、外観も内装もリッチ、緑も多く父の好みに合いそう
- 森が見える大浴場。きれいで清潔。
- 部屋にも浴室と洗濯機置場、ミニキッチンがある
- 妹の住まいから一駅。平日も会社の帰りに寄れる
- 隣接の有料老人ホームに母が入れば、毎日会えるようになる
- 桜畑やその息子も沿線なので、アクセスしやすい
- カフェとレストランがすぐ隣。たまにおいしいものを食べに行ける
- 父が要介護になったら、併設のホームに有利な条件で入居可能
- 徒歩3分の場所に特別養護老人ホームと包括支援センターがあり心強い
- 地元で通っていた総合病院の系列病院が、車で7分の場所にある
住み慣れた地元から、妹の住む東京都下へ。思い切った選択ではありますが、この線で進めることになりました。
2.5ホーム紹介業者を使うとき
①ホーム紹介業者を通すメリット
義父母も含めて何十件もホーム見学を経験した桜畑。
たいていのホームは直通の電話の表記がなく、個別に見学予約をとるのもめんどうです。
「老人ホーム」を検索すると出てくる「LIFULL介護」「かいごDP」などの介護施設紹介業者に頼むと、希望条件にあった施設を提案し、めんどうな連絡やアポイントを進め、各施設の営業担当者につないでくれます。
今回の見学のときに妹がお願いしたのが、
【みんなで介護】 略称「みんかい」
施設紹介業者の老舗で、経営スタッフの小島勝利さんの著書『誰も書かなかった老人ホーム』は高齢者ホームの裏表を事細かに公開していてとても頼りになります。
成約すると10万円のお祝い金がもらえる!!というのも大きなメリットです。
その「みんなの介護」から、こんな老人ホームガイドも出ていました(2024年1月25日発売)
クチコミ付きで施設選びに失敗しない! 全国老人ホームガイド (角川SSCムック)
②紹介業者を通す際の注意点
業者によっては空き室を埋めるために、人気のないホームを推してくる場合もあります。(不動産業者と同じ)
実際に見学に行ってみると、
- 介護職員の求人が集まらず、一部が閉鎖されている
- あきらかに職員に覇気がない。動きが緩慢
- 営業担当者や施設長に、介護に対する情熱を感じない
- 食事がセンター方式で、キッチン付きの居室なのに重度介護者ばかり
など、首をかしげるような施設だったことも多々ありました。
いくつも見ることで希望条件がはっきりしてくるので、余裕があれば数十か所足を運ぶのもありです。
しかし、早く決めたい場合は、推薦されたホームをあらかじめネットで調べ、空き室が3分の1以上もあるようなホームは事前に見学をスキップするのがよいでしょう。
3.本人が納得する説得方法(鬼)
3.1サ高住の利点を伝える
もうここしかない!と姉妹三人で確信したサ高住C。
問題は「家にいたい」「そんなところには入らない」とパンフレットさえ開こうとしない父です。
私達のとった作戦は
- ホームにいる母にパンフレットを見せ、コスパや設備、立地のよさを納得させる
- 母から父に、妹のそばに行く利点を話してもらう
- 隣接の有料老人ホームに母も転居し、毎日会えるようになることを理解させる
- 姉妹で父に会うたびに、近くに親族がいる安心感やメリットを話す
- 周辺地図を見せて、愛用の大型量販店やスーパー、総合病院や温泉施設があることなどを話す
- このまま戸建てで、独りで冬を越すのは心配であることを伝える
3.2第三者の意見をきかせる
とはいえ、なかなか前向きにならない父。
しかし、お世話になっているケアマネさんが訪問されたときのこと。
机に置いてあったパンフレットを見せたところ、
「〇〇さん、ここいいじゃないですか!! 大きなお風呂もあるし、建物もきれいでコスパもいいし、駅からも歩けるし。娘さんのそばっていうのが、何よりも安心ですよ!〇〇さんにぴったり!!」
と、言ってくれたのです。
ケアマネさんは施設選びの専門家ってわけではないですが、いろんな利用者さんがホームに入所するのをみています。そのお墨付きをもらって安心したのか、
とつぜん父が、
「じゃ、明日入る!」と宣言。
またまたご冗談を!と思った私達に、母から
「お父さんはすっかり決めたみたいよ」と連絡が。
ひとり暮らしの限界を感じ、父はずっと考え、迷っていたんですね。
3.3見学に連れ出す
とはいえ、半ばヤケクソのようにサ高住入居を考えはじめた父に、現地見学してもらわねばです。
グルメ好きの姉が「近くのホテルで高級チャイニーズを食べよう!!」と誘い…
父に重い腰をあげさせ、見学に誘い出すことに成功。
営業担当者に行き届いた案内をしてもらい、
施設の新しさや大浴場の清潔感が気に入った様子の父。
前回見たサ高住の古さが記憶に新しかったのが功を奏しました。
本人が比較対象を持つことはとても大事。
いやいやでも数か所のホームを見せておいてよかったな、と思います。
3.4決断の決め手はこの言葉
見学のとき失敗したのは、東京駅からの特快を逃したこと。
鈍行で乗り換えもあったため、父は都心から遠く離れた場所=「都落ち」と認識。
やっぱり母と自宅近くの有料老人ホームに入れないか…と迷い始めました。
しかし、経済面や立地の不便さ、外出、入浴が制限されることなど、まだ体が元気な父には向かないだろう…と姉妹で結論。
紆余曲折ありましたが、最後には姉(長女)の電話に、
「都落ち…するよ…」
と父は決断したそうです。
何を選んだところで、長年住み慣れたマイホームで母に世話をされながら自由気ままに生きてきた生活とはかけ離れてしまいます。
思い出のいっぱい詰まった家や持ち物も置いて行くことになります。
それでも父の気持ちが変わったのは、私たちが放ったこの言葉
お棺には何も持っていけないんだよ
何も持たずに生まれてまた天に還るんでしょ
酷だったかもしれませんが、それが真実です。
人生後半に入る私達が、自分に言い聞かせている言葉でもあります。
底冷えする冬の戸建て生活を迎える前に、決断してくれて本当に良かったと思いました。
とはいえ、旅行支度程度でもとりあえず入れる老人ホームと違い、サ高住は、基本は賃貸マンション。
家具家電、備品は持ち込みだし、テレビや電気ガス水道の契約も必要です。
その準備の間に父の気が変わったりしないか??
入ったものの、嫌になって戻ってきたりしないか?
ハラハラの引っ越し編、続きはまた~!!